こんにちは、ゆきけーです。
今回はコラムとして、イラストレーターが儲からない理由について、
私なりの見解でお話していこうと思います。
起きている問題
まず、イラストレーターという仕事の、お金関連の問題について整理します。TLなどから流れてくる問題として私が知っているのは
・依頼内容に対して報酬が安すぎる
・クライアントの態度や対応が悪い
私が知っている範囲ではこれくらいです。
とはいっても、これってかなり問題ですよね。
カラーイラストで数千円とかのケースもあるようですし、
頼んでおいて完成してから連絡が途絶えるとか、やり損ですよね。
いったいどうしてこんなクライアントが多いのでしょうか。
他のサイトには色々な話が挙がってますねぇ。
ざっとまとめると大体こんな感じです。
近年イラストレーターが増えすぎてて供給過多な状態になっており、
それに加えソシャゲが主流となりイラストレーターの需要が高まり、
更にPixivなどのお絵かきサイトの発展で
いいイラストを描く人を見つけやすくなった。
その結果、従来の「プロ」としてのイラストレーターでなく、
仕事意識を持っていない「絵がうまい素人」の絵描きさんを
大量に漁れるようになった。
なので依頼する側も「絵が描ける素人」相手の対応をし、
その結果クライアントは身勝手な対応をするようになった。
最近ではそれらの状況がSNSを通して業界に広く知れ渡り
問題が明るみに出て、争いになっている。
・・・といった具合ですかね。
まぁたしかにそういった側面もあるとは思いますが、
私は上の状況を踏まえた上で、別の角度から
問題の原因を考えてみました。
結局は立場が弱いから
それは、「主導権がどちらにあるか」という問題です。これはイラストレーターだけでなく、日本の様々な
クリエイター職も無関係ではないと思います。
イラストレーターって、基本的にクライアントからの依頼があって
初めてお仕事が入りますよね。
イラストは絵画や漫画などと違って
一般に、それ単体では売り物にならず、
ゲームやラノベ、グッズの表面など、何らかの売り物に
載せて販売しているものが、現状ほとんどだと思うんです。
なのでイラストレーターは、1人ではお金を稼ぐことが出来ません。
自分発で物を売るのでなく、他人が売る商品の一部に加えることで
依頼料としてお金を稼いでいます。
言い換えてみれば、物を売っている訳でなく、
一回限りの働き口を常に探しているような状態とも言えます。
ですので、イラストレーターさんの経済状況が良くない状態だと、
どうしてもブラックなクライアントも受けざるを得ない場合もあると思います。
こう言うと、「その人の絵が下手だから仕事が来ないんだ!」
とかいう反論が聞こえてきそうですが、
必ずしも実力と収入は比例しない場合もあります。
この事については、「「いいものを作れば売れる」という幻想」の記事で触れています。
「いいものを作れば売れる」という幻想
この問題は現在進行形でクライアント側とイラストレーター側が衝突しているので、
もう少し経てばいくらか状況は改善されるかもしれませんが、
それでもイラストレーターが「使われる側」のままなのは変わらないと思います。
クリエイターの商売っ気の無さ
イラストレーターに限らず、今の日本ではクリエイター職の方々は「使われる側」になってしまっていて、経営者やクライアントにこき使われ
ている人が多くいるんじゃないかと思います。
例えば声優とかアニメーターとかもそうですね。
オタク業界のクリエイター職はけっこうその割合高いと思います。
なぜそうなのかというと、
これは性質上どうしてもなってしまいやすいのですが、
クリエイターの方々は金儲けや商売が下手な方が
結構多いのが原因の一つだと私は考えます。
多くの場合、クリエイターの方はひたすら物作りに傾倒していて
効率よく儲かる為に工夫を凝らすことを余りしていません。
勿論、すばやくクオリティ高い作品を納品しようと
必死にがんばってらっしゃいますが、
ここでいう効率よく儲かるとは、
少ない労力でより多く稼げる
新しいビジネスの仕組みを常に模索するという事です。
そして、
そこに目をつけた商売上手な人が、クリエイターを利用して
自分は上手に儲けつつ、クリエイターを安く繰り返し使えるように、
かつ自分から離れられないようなシステムを作り拘束します。
例えばPixivなどが代表的な、
お絵かきコミュニケーションサイト、ありますよね。
これはとても美味しいビジネスなんです。
ただイラストを公開して競争する場所(サイト)を提供するだけで、
勝手にイラストがどんどん投稿されていき
単純なランキングを作るだけで競争してくれて、
いいイラストレーターが簡単に見つかるようになりました。
あとはそのランキングなどを参考にすれば、
わざわざ探さなくても腕のいいイラストレーターが
ざくざく見つかりますよね。
こんなラクして美味しいビジネスなかなか無いですよ。
企業のクライアントにとっては、絵が上手いだけの素人を
二束三文で買い叩ける絶好の場所だったんです。
しかもその結果、Pixivのブランド力は何もしなくてもどんどん増していき、
出版社などの大手企業とのタイアップもたくさんやることで、
その影響力は業界で不動のものとなりました。
ネットが発達していき、かつ各々が掲示板などに
細々とイラスト投稿するしかなかった
ちょうどその時期に、
広く公開する場所を欲していた時代の流れを読んだ
本当においしいアイディアでしたね。
それによってPixivの経営陣は、従業員を雇うことで
間違いなく不労所得に近い状態になることができたと思います。
ですが一方で、コンテンツの中心である絵描きの方々はというと、
確かに実力を磨けば評価されやすくはなりましたけど、
それでも上で話したとおり、あくまで受け身の仕事形態のままでして、
クライアントの方が立場が強いという力関係は変わっていないんです。
こうしてクリエイターの立場が弱いまま、
利用する商売人の方が儲かっている状況が
少なからずあると思います。
会社や組織は、何かとバラバラになりがちなクリエイター達に
「システム」を提供し、ある程度仕事の安定供給に役立つ事もありますが、
同時に上のような打算も持ち合わせているでしょう。
クライアントを選り好みできるくらい条件がよりどりみどりな
イラストレーターさんなんて、ほんっと一握りの
名前が売れてる方だけでしょうね・・・。
あの有名な岸田メル先生も
それほどガッポリ儲かってるという訳ではないようですし、
単価が高くても、手が早くなっても、やはり限界はあるように思います。
岸田メル先生の業界のリアルな話/togetter
TLで「不労所得ほしー」とか言ってる絵師さんが時々いますが、
今の働き方じゃ、いくらやっても不労所得は入りませんよと言いたいです。
親切心からですが、聞いてもらえないでしょうね・・・。
まぁそれはともかくです。
ではどうしたら儲かるのか
ではどうしたらイラストレーターは儲かることができるのか・・・。私は、
「向こうから勝手に仕事(お金)
が飛んでくるビジネスモデルを作る」
ことだと考えます。
今まで散々書いてきましたが、結局問題なのは
「イラストレーター側からはどうしようもない
クライアント側からの理不尽」ですよね。
なら、仕事を他人が依頼してくれるのに依存せず、
自分で直接稼ぎにいけるようにすればいいと思うんです。
会社が社員をもう守ってくれない時代なのと同様に、
クリエイター業もケチなクライアントとせめぎ合いをして
権利を守る為に戦わなければならない時代です。
これから更に個人主義が加速し、利己的な社会になっていきます。
そんな時代で、会社という他人や、クライアントという他人に
収入の入り口を握られているような状態のままでいるのは、とても危険です。
もちろん、ふつうにイラストレーターとしての
仕事もやっておいてもいいですが、収入を得る手段は多いほうがいいですし、
他人に依存しない形での仕事は
自分の取り組みで売り上げを操作できるため、
収入が安定しやすいです。
私がオススメする手段
私のおすすめは、やはりデータでのイラスト販売や電子書籍などですね。原材料費がかからないので利幅が多く、ロングセラーにすることができれば
長期の収入につながります。
下に、有名な電子書籍サイトとその説明を載せます。
サイトの知名度も売り上げに直結するので重要なところです。
気になる掛け率もいっしょに載せておきます(2017年2月現在)
とらのあな電子書籍
とらのあな電子書籍の説明ページ
同人誌の委託で有名なとらのあなですね。
最近電子書籍の取り扱いも始めました。
他社にも取り扱いさせていると
その作品の掛け率は64%+税ですが、
とらのあな専売だと67%+税になります。
例
卸値540円→(掛け率64%)→売値約885円
卸値540円→(掛け率67%)→売値約901円
卸値3240円→(掛け率64%)→売値約5313円
卸値3240円→(掛け率67%)→売値約5410円
標準的な同人誌価格である卸値500円前後では
今回紹介する中では一番売値が低いですが、
卸値が上がってくると、他と違って掛け率が同じままなので
売値が他より上がります。
低価格帯での掛け率の低さと知名度を武器にするといいですね。
DLsite
DLsiteの説明ページ
掛け率は、普通の一冊の価格帯
(約500円程度)だと8割ですね。
ただ卸値が高くなるほど掛け率は低くなります。
卸値540→売値972円
卸値3240→売値4104円
DLsiteは、よりオタクっ気のあるコアな内容が主流ですね。
なのでロリとか魔法少女とかのコアな部分はこっちがいいと思われます。
DMM同人.R18
DMM同人.R18の説明ページ
掛け率は一般同人誌の価格帯だと7割しないくらいですね。
卸値が上がってもDLsiteより少し低いです。
卸値540→売値900円
卸値3240円→売値3900円
DMM同人.R18は、DMMがAVも販売してるので
そのせいか大人向けのものが多いです。
豊満な感じとか・・・
アダルティックなやつですね。
ちなみにDLsiteとDMM同人R18はアフィリエイトが出来ますが、
アフィリエイトというのは作者以外が宣伝をして、
そのアフィリエイト経由で売れたら
作者は一定比率の金額をアフィリエイトした人に渡す仕組みになってます。
要はアフィリエイト経由で売れた分だけ、
作者の売り上げから一定比率で利益が引かれるわけです。
なので作者本人がアフィリエイトをしても、意味無いので注意です。
注意点ですが、二次創作の場合、電子コンテンツでの販売は、
グレーを通り越してクロに近いので、
電子書籍をやるなら、オリジナルでやったほうが安心ですね。
最初から人気コンテンツを使っての二次創作は
比較的やりやすいですが、電子媒体での販売は
高確率で版権会社から目を付けられます。
今現在は版元からお目こぼしを貰っていますが、
今以上に同人の電子販売が増えると、
いつ公式から電子書籍禁止のお触れが出るか分かりません。
あまり版元を刺激するような事はせず、
二次創作なら紙媒体で、オリジナルなら電子書籍
という風に使い分けたほうがいいです。
オリジナルでもエロなら売れやすいですしね。
売れるオリジナル作品・売れるキャラの作り方を学ぶことは
イラストレーターとしても非常に為になると思いますし、
何よりそのイラストレーターだけの資産になるので、本人の自由に売ることができ、
ヒットすれば自身が原作者なので多くの利益を上げることができます。
現状の、買い切りの依頼では、もし仕事した作品がヒットしても
イラストレーターにはその一回の仕事量に対する報酬しか入ってきません。
オリジナルの電子媒体での販売なら、そんな悔しい思いもしないですみます。
それほどのヒットを飛ばさなくても固定ファンが付けば、
1人暮らしの人間を養うくらいの利益は余裕で稼げる可能性があるのが、
電子コンテンツ販売の大きな旨みです。
最後に
もう一度言いますが、これからの時代は金を稼ぐ仕組みを他人に頼るのは危険で、
自分自身で金を稼ぐ商売人的思考もこれからのクリエイターに必要です。
ネットが発達した現代、あなた自身に十分な実力とファンがいれば、
ファン相手に作品を売って直接お金を稼ぐことも十分可能です。
単独で自立したビジネスを持っているかどうかが、
次の時代のキーワードとなるでしょう。
え?同人誌販売すらしたくなく、
ひたすら落書きばっかして暮らしたい?
しょうがないにゃぁ・・・
じゃあ、別の記事でそのわがままを
叶えられる可能性のある手段についてお話しします。
インターネットお絵かきマンが働かずに落書きばかり描いて暮らせるには