どうも、ゆきけーです。

あなたが、最近見た中で一番面白かったアニメは何ですか?

私は、断然、「けものフレンズ」です!

例によってブームが起きてから見始めたのですが、
すっかりファンになってしまいました。

特にコノハ博士とアミメキリンちゃんが好きですね!

ヤギね!


 

しかし、毎年それぞれ覇権を取るアニメはありますが、
これほどまでに社会現象になったアニメはガルパン、いやハルヒ以来かもしれません・・・

いったいなぜ、けものフレンズはこんな短期間で人気になったのか・・・。

というわけで今回は、コラムとして最近で一番のヒットアニメである
「けものフレンズ」について、
なぜけものフレンズが成功したのかについて考えていきます。

(17年10月現在情報)

 

見出し

けものフレンズの成功の理由をピックアップ

社会が不安定だからこそ受けた、ほのぼのした作風

まずけものフレンズの大きな魅力として挙げられるのが、
あの「圧倒的ほのぼの感」です。

少し前から、いわゆる「日常系」といった、ストーリーの起伏の少ない
ゆるい展開の作品が増えていましたが、それが増えてきた原因もはやり、
今の世間の空気があまり良くないからだと考えられます。

政治、経済、外交、福祉、様々な点で今の日本は問題が起きていますから、
黙っていても気分が沈むというものです。
だからこそ、こういった平和な世界を描いた物語は今、
激しく求められているんですね。


 

それはけものフレンズが「IQを溶かす」と言われていることからも
そういった魅力がとても強いことは確かです。

けものフレンズは現代人の癒しとして、
とても大きな役割を持っています。

 

ですがこのけものフレンズが他の日常系アニメと違うところは
ほのぼのしていながらも、きちんとメッセージ性や起承転結のある
ストーリーのあるところです。

これについては、下でまた説明します。

 

深夜アニメなのに子供に見せられる内容

けものフレンズが従来の深夜アニメと変わっていたところは
深夜アニメなのに、日曜朝にやってもいいくらい、
内容が健全で教育的なものだった点です。

 


 

 

普通の深夜アニメは、だいたいお色気、露出シーンがあったり、
それが無くてもブラックな内容のものが多かったりします。

といってもそれが悪いわけではなく、深夜アニメの視聴者層は
大体がおっさん大きいお友達なので、ニーズの関係上しょうがない事もあります。

 

ですがけものフレンズは、教育テレビで放送されてもおかしくない程
子供が見ても楽しく、勉強にもなる内容です。

そして実際、再放送では朝に時間帯を移し、親子からも好評を得ました。

 


カレーの鳥

 

けものフレンズのほのぼのさは、大人や子供も
わけ隔てなく楽しめるアニメとして、幅広い層に受け入れられました。

 

 

奇跡の連続のタイアップ

更に最近の流行として、タイアップや地域おこしの側面がありますが
それはけものフレンズにもあります。

けものフレンズの場合は、幅広い動物園ですね。

 

タイアップはタイアップ先がアニメの宣伝効果を受ける代わりに、
アニメ側も現実世界での宣伝場所を増やせるという相互メリットがあります。

たとえば「らき☆すた」の場合は 鷺ノ宮神社と春日部市、
「ガールズ&パンツァー」なら大洗市と自衛隊と、
過去の人気作品もそれらとタイアップすることが多かったです。

 


 

このノウハウは今は一般的となり、結果的に外れたアニメにも
採用されている手法なのですが、
けものフレンズの場合は関係者の熱意がすごく、
また奇跡が起きたこともあって、
アニメ史上最大のタイアップ成功例だと言えるほどになりました。

 

 

まず触れるべきなのが、
けものフレンズの人気を初期から押し上げてきた立役者?
である「しんざきおにいさん」の存在です。

彼は多摩動物公園の飼育員で、実はサーバルの繁殖を成功させたり、
数少ない国内でのチーターの繁殖を成功させたすごい方です。

 


 

彼がアニメの合間に、アニメ登場動物の紹介をするシーンで
「若干ゃ草」「ジャンプ力ぅ・・・ですかねぇ・・・」などの
名言を発言し、それがネットで話題になったことで、
けものフレンズ人気のスタートダッシュを勢いよく切れたと言えます。

これについては全くの偶然なので、ラッキーとしか言いようがありません。

【けものフレンズ】 しんざきおにいさん (とうきょう)

 

 

それと決して忘れてはならないのが、
グレープ君の存在です。

彼は東武動物公園で飼育されていたフンボルトペンギンで
人間に例えると80歳くらいの老ペンギンです。

東武動物公園がけものフレンズとのコラボで
園内にけものフレンズに登場したキャラをパネルで設置しました。

すると、グレープ君は展示場に設置された
フルルというキャラクターをじっと見つめて離れないことがわかり、
話題になりました。
(このフルルがグレープ君と同じフンボルトペンギンであることは
同じ動物のパネルを置いたとしても、全くの奇跡です。)

このグレープ君の話題はネットのみならず
テレビニュースや、海外ニュースにも取り上げられ、
「二次元に恋するペンギン」として世界規模の人気者になりました。

 


彼がけものフレンズに与えた功績を、決して忘れてはいけません。

 

 

けものフレンズがーでんは、
運営が赤字覚悟の大サービスをすることにより、
話題性、ファンサービスという面では大成功を収めました。
(ビジネス面では少しふるわなかったようですが)

 

このように、けものフレンズのタイアップは
奇跡の連続で、まさに神風(追い風)が吹いたと言えます。

 

 

ネットスラングとなった「わーい」「すっごーい!」「あなたは○○なフレンズなんだね!」

ほのぼのとしたストーリーが展開していく中で、
この作品のイメージを決定づけるスラングが生まれました。

「すっごーい!」
「わーいたーのしーい!」
「あなたは○○なフレンズなんだね!」

などです。

 


 

世間への認知度や浸透度を高めるためには、
魅力をわかりやすく記号化することはとても大事です。

 

今までも、その年の覇権アニメなどからはよく
スラングが出てきました。
「○○も○○もあるんだよ」(まどかマギカ)
「○○さんチーム」(ガールズ&パンツァー)
「万策尽きた」(SHIROBAKO)
・・・色々ありましたねぇ。

 

これらのスラングは流行を浸透させるのにとても便利なので、
このような現象が起きているかも、その作品が流行るのに重要な要素です。

けものフレンズの場合も、楽しく前向きでほのぼのとしたスラングにより、
気になった人がアニメを見始めました。

 

見え隠れする荒廃観や練り込まれた設定で奥深い世界観を演出

ネットスラングで興味を持ってアニメを見た人は、
「ただほのぼのしてるだけだろうな」と思いますが、
実際に視聴し進めていくと、何気ない伏線で、
設定や世界観が意外と荒廃していることに気づきます。

序盤ならトキの「この姿になってからetc」などのセリフですね。

 

そして物語が進むごとに、
・かつてヒトがいたが何らかの事情でいなくなった事、
・「前回」という、セルリアンの大攻撃があったこと、
・かばんちゃんはミライさんの髪の毛から出来たヒトのフレンズだったこと
・フレンズは「けものプラズム」の濃淡で形作られていること

など、ただのほのぼのアニメとだけにしておけないような、
とても緻密でシリアスな設定を読み解くことが出来ます。

 


 

このように、魅力がひとつの方向だけでなく、
あえて表面的な魅力とは相反するような世界観を
裏設定とすることで、世界観やストーリーに締まりを出しているので、
奥深さを感じさせています。

 

異なる魅力を一緒に入れることで、奥行きを出すのはそれ自体はありふれた手法ですが、
けものフレンズの場合は表のほのぼのさが職人芸的に優れているうえ、
裏設定も小説家並みに濃密かつギャップがあり、絶妙なのがすごい所です。

 

 

ほのぼのとした雰囲気と裏腹に堅実でしっかりした王道ストーリー

更に、こういった奥深さもただ出していくだけでなく、
それぞれの話ごとにしっかりとしたテーマがあり、
ストーリーの進行も、仲間を集めてボスを倒して平和を取り戻すという、
とても王道で普遍的なものです。

 

王道、と聞くとつまらなく感じるかもしれませんが、
王道のストーリーとは古今東西で広く受け入れられている
普遍的なストーリー構成のことです。

 

しかし王道は、生かすのが難しく、総合的なクオリティが低いと
「パクリ」「見飽きた展開」などと言われ、
箸にも棒にもひっかからないものになってしまいます。

そういったものと、成功した「王道作品」とを分けるものは、
きちんとストーリーを活かすことができるかで分かれます。

 

ストーリーというものは、必ず人の心理を動かす仕掛けがされています。
たとえば起承転結も、スムーズに導入し、
盛り上がって、クライマックスの興奮、
勝利の余韻を読者に体感してもらうための演出と言えます。

 


 

ストーリーのきちんとしている作品というのは、
ひとつひとつの演出がきちんと読者に影響を与えられているものです。

説明する所できちんと理解してもらい、
盛り上がるところできちんと盛り上がってもらう、というような。

シンプルですがこれが出来ないとストーリーの力を
活かすことが出来ません。

 

けものフレンズは、一話ごとにきっちりテーマが決まっているように思えます。
1話なら「基本的な世界観や今後の流れの説明とデモンストレーション」
3話なら「個性の活かし方と交流(交易のはじまり)」
7話なら「知識の役割について」

・・・とかですね。あくまで私の考えですが。

 

このように、1話ごとに伝えるべきテーマ、
そしてそれを楽しみながら伝えるための方法も、
きちんと整えてあります。模範的ですらありますね。

しかも全12話全体を通してのテーマもきっちり踏んでいます。

 

けものフレンズの直近に作られていたアニメは、
シンプルな王道というよりは、
細分化されたニーズに特化させた路線が多くありました。

 

しかしそういうものがありふれてきた、ちょうどいいタイミングで、
作品テーマとして、ひとつも暗い要素が入っていない、
平和的で洗練された王道ストーリーのけものフレンズは
お話づくりの原点回帰という意味でも、新鮮さを読者に与えました。

 


 

まさしく王道かつ、理想的。
時代を超えて語り継がれるおとぎ話のように完成されています。

極限まで無駄をそぎ落としたストーリーテリングの神髄を見た気がしました。

 

 

CGなのにそうと感じさせない優れたモデリングとモーション

けものフレンズの魅力の一つに、CGの秀逸さがあります。

今までのCGアニメは通常、動きがやたらとヌルヌルしたり、
質感がリアルすぎて人でも無機物みたいに固く感じられることが多いです。

 

そのせいか、人間がメインのアニメでは3DCGは
2Dの手描きに勝てないと言われいましたし、
実際それまでで3Dアニメで覇権を取るほどのものは
ありませんでした。

2D手描きが高品質な作品を作るうえで
絶対的とされていたんです。

 

ですがけものフレンズは、その絶妙な手抜きシンプルさによって、
適度にラフな質感を出しています。

しかしその構造は研究しつくされていて、CGが手描き並みに
自然になるように設計されています。

 


 

更にモーションや演出も作り込まれていて、
見ていて「ひっかかる」部分がほとんどありません。

参考サイト:
3DCG方面から見る『けものフレンズ』第一話 その1【ちょっとしたメモ】

 

3DCGアニメなのに、CGぽさを感じません。
私自身、見ていて他の3Dアニメのような違和感を感じませんでした。

手描きに勝るとも劣らない、優れた技術だと思います。

 

このような点からも、
けものフレンズはすごく「自然体で見られる」アニメだというのが
分かりますし、そう狙って尽力されたたつき監督に脱帽します。

 

 

監督自身の人柄の良さ

そして、そのクオリティ面での秀逸さに加え、監督自身の人柄の良さが
更にけものフレンズへの求心力を高めていったという点もあげられます。

たつき監督の人柄を表すエピソードとしてもっとも有名なものは、
やはり「ばすてき」の件です。

けものフレンズ 12.1話「ばすてき」

 

普通、人気になったアニメはその放送が終わると、
来週からもう放送が無いという事実に
「○○難民」といわれる、喪失感を訴える人がいます。

ですがたつき監督は、なんとけものフレンズ難民のため、
自費で二次創作としてアニメを作り、ファンに無料公開しました。

 

自分のポケットマネーで声優にギャラを支払って声も付けており、
かかった費用は数十万円とも言われますが、
それをファンのために全て自分のポケットマネーで制作するといった事は
いまだかつてアニメ業界で一度もありませんでした。

 

しかもそれが、既に過去にヒットした作品を持っている
大御所の監督とかではなく、けものフレンズではじめてヒットした
いわば新人監督がやったことという、そこも驚きでした。

 


 

(てさぐれ!は成功しましたが、総合的な監督は 石舘光太郎氏ですし。)

 

この件では、コンテンツの権利について、ひと悶着あったようですが、
この動画は「難民グランドホテル」と言われ、たつき監督のサービス精神を
如実に表しました。

 

さらにコミケでは、豪華なイラスト本を驚きの一人で頒布し、
ばすてきの件とあわせて、監督が利益にあまりこだわりが無く
作品を作って楽しんでもらう事しか考えてないという点が
ファンから称賛されました。

 


 

また、たつき監督は仕事でもアニメ作って、
休日も趣味でアニメを作るという生活をしており、
けものフレンズ関連で喜ばしい事があった時は
個人的にイラストを制作しSNSで発表していました。

 

これらの出来事が重なり、監督は
もうアニメ作ることしか頭にないアニメ作りバカ(最大級の褒め言葉)
と言われ、ファンから崇拝に近いほどの求心力を得ました。

 

(けものフレンズの人気には、たつき監督の個人的な尽力による点が多く、
けもフレ人気とたつき監督個人の人気がダブっているこの状態は
後にある大問題を引き起こすのですが、それについては別記事で触れます。)

 

 

日本人好みの苦労話とサクセスストーリー

そしてけものフレンズの成功をよりドラマチックにしたのは、
このコンテンツのアニメ化までの歴史と、
たつき監督の制作秘話です。

 

むしろこれが、個人的に一番大きな理由だと思っています。

ではまず、けものフレンズのアニメ化までの経緯を軽く説明しますね。

 

けものフレンズは14年ごろに企画が誕生し、
15年3月にアプリ版が始まりました。
15年7月には漫画も並行してスタートし、おおむね順調な滑り出しを見せます。

けものフレンズはクロスディア戦略を主軸とした
展開を考えられたコンテンツです。

 

クロスメディア戦略とは、漫画、アニメ、ゲーム、ラジオ、イベントなど、
異なるメディアを同時展開することで、
顧客を野原で放されてる状態から→どっぷりコンテンツに漬かりきった状態まで
各メディアを連携させてエスコートする戦略です。

 


 

たとえばデレマス、艦これなどを考えてみると分かります。

ラジオ化
マンガ化、
アニメ化・・・etc

(アニメがヒットすればグッズやリアルイベントも後出しで広げていきます。
ちなみにこのように濃くなったファンが再び他コンテンツへ購入の手を伸ばせる戦略、
これをダブルファネルと呼びます。)

 

こういった具合に、ゴール地点から逆算して作り、
最後に一番広く宣伝できる手法を作ることで、
顧客をスムーズにそのコンテンツの世界に浸らせるのが目的です。

 

ですが!けものフレンズはそのゴール地点となる
アプリ版が、アニメ放送の前である16年12月に終了してしまいました。
アニメは17年1月放送です。

つまり、けものフレンズはこの時点でクロスメディア戦略として
破たんしてしまっていました。

 


 

おそらくアプリでの成果がふるわず、
アニメまでコンテンツの体力が続かなかったのではと思います。

なのでアニメ放送前は、既に終わったコンテンツの消化試合、
いわゆる敗戦処理とも言われていました。

 

私自身今考えてみても、この状況からは、
よっぽど神アニメでもない限り逆転不可能、
しかも無名監督の少人数によるCGアニメ・・・
(これについては後述しますが)

私が企画担当者でも「終わった・・・」て思います(笑)

 

ですが蓋を開けてみれば、このような人気になりました(爆)
まさに一発逆転、常識からは考えられない奇跡です。

 


 

また、たつき監督自身のエピソードも非常に興味深いです。

けものフレンズのアニメは、制作メンバーが非常に少なく、
また資金繰りも苦しかったといわれています。

そのため二次創作動画では「公式よりスタッフロール長い」という現象や
「OPでタイヤが回らなくなったのは幻の0話でスイカ割ったのが原因」
などのウワサもたったほどです。

 

またそのためか制作期間も長期になり、
たつき監督は500日も毎日アニメを作っていたようです。
1年以上ずっとって・・・絶対体壊しそうですよね。

 


 

普通はこれほどの事を継続する事は難しいですし、
たつき監督の地道な努力が見えます。

 

またたつき監督は自主製作のオリジナル動画もニコニコ動画にUPされていて、
けものフレンズ放送までで100本、しかも定期的に作られていました。

 

しかも、けものフレンズが人気になる前は、
あまり再生数はふるいませんでしたし。
(駅長さんとかは当時は200再生とかも)

200再生でもすごい再生数ですが、
今の人気と比べると、って意味です!

 

ネットビジネスにも通じますが、やはりどれほど優れた作品でも
集客が出来ていないと、そもそも見る人が少ないんですよね・・・。

けものフレンズたつき監督が9年前から自主制作アニメを投稿していたことが明るみに。その再生数に驚きの声

 

自主作成アニメは過去に話題になったり、
コンテストでも入賞していますが、
埋もれてしまいやすいです。

ネットは「アニメの全体」学べる小さな社会 「眼鏡」監督に聞く

第24回CGIアニメコンテスト入賞

 

それでも続けた、たつき監督の継続力には、まさに脱帽です。

 

更にたつき監督は、
「直球表題ロボットアニメ」や「gdgd妖精s」などでヒットした
石館光太郎氏と喧嘩になり、石館氏がヤオヨロズを去っているという
経緯があります。

 

その時、石館氏は上のような斬新な作品をヒットさせた
社内でとても影響力のある人物だったでしょう。

普通、輝かしい実績のある上司に
真っ向から反対意見を言える人は
そうはいません。

 


 

それでもはっきりと意見を言えたたつき監督は、
並大抵でない意思の強さを持っていると言えます。
(その時は福原氏もたつき監督に賛同したようです)

 

 

みんなが楽しいと言っていると自分も楽しく感じてくる心理~ハロー効果~

私が思う、けものフレンズ大ヒットの理由の最後のピースとして、
ハロー効果があります。

 

アニメ放送時からちゃくちゃくと人気を伸ばしていき、
スラングや考察がSNSで大流行して
二次創作動画やイラストなどが大量に作られ、大ヒットというニュースが
流れたまでが、けものフレンズのヒットの第一段階だったと考えます。

 

そしてその評判を聞いてはじめて、けものフレンズのアニメを見始める人は
「けもフレ楽しい!すごい!みんみ
とほかのユーザーが騒いでいるのを見て、アニメを見る前から
「すごい面白いみたい」という色眼鏡がかかっている状態でスタートします。

 


 

そのような状態になると、
見たものの受け取り方がその色眼鏡に影響され、
前情報が無いフラットな状態で見た場合より
すっごーい!と思いやすい傾向になります。

これを心理用語で「ハロー効果」といいます。

 

実際、最初に放送された時の1話の評価は
一番いい評価が、なんと41.3%という驚きの数字ですしね。

(12話は98.3という、これまた圧倒的な数字です。)

お祭り気分にあてられて、屋台で食べるたこやきや焼き鳥が
すごくおいしく感じるのも同じ原理です。

けものフレンズ-ニコ生アニメアンケートめも @ ウィキ

 

 

また、これも最近の人気アニメに多いのですが、
第一話がまるで集会所のように、
そのコンテンツの最新ニュースの反応で埋め尽くされる
状態があります。

これを私は勝手に「お姉ちゃん速報現象」と呼んでいますw

 

これはニコニコ動画で第一話のみ無料公開されていることで
そのコンテンツでの最新の話題についてのコメントが
一話に大量に書き込まれる現象です。

これにより、そのアニメのファンはちょくちょく一話を
見にくることで、動画の中がまるで集会所のように
賑やかさを感じると同時に新情報も知ることが出来ます。

 


 

この現象が出来上がると、その一話の再生数は、
起きていない作品の一話と比べてケタ違いに上がります。

なぜなら動画を再生してそのお祭り騒ぎに感化され、
つい自分も書いてしまい、そしてしばらくすると
新しい情報がないかとつい見に来てしまうからです。

そのコメント自体がコンテンツとなり、
リピーター兼コメントの書き手を大量に得ることが出来るからです。

 

何度も何度も見に来ては楽しみ、そして自分もコメントを残していく、
そのサイクルによって再生数は異次元のレベルに高まります。

 

これによりけものフレンズの人気は、
ロケットの第二段階のようにさらに伸びました。

 

いわゆる「サーバル曲線」も、
この現象が一枚噛んでいると私は考えていて、
ニコニコ動画での1話の1000万再生突破も、
これの影響が大きいと考えています。

 


 

ちなみにこの効果は、特別けものフレンズだけではなく
覇権を取ったり大ヒットした作品なら普遍的にある効果です。

ですがこれも重要な理由のひとつなので、しっかり取り上げました。

 

 

これらの理由の根本にあるもの

けものフレンズの大ヒットは、もちろんこれらの要素全てが
うまくハマったからなのだと考えられますが、
ではこれらの理由を生み出した要因、
「おおもとの一番の要素」は何かと私は考えました。

 

上であげたような要員を全て意図的に用意することは
ほぼ不可能ですし、仮に用意出来たとしても、
結局けものフレンズがヒットした後では、
二番煎じとなってしまい、やはりヒットしないでしょう。


 

つまり、今で過去ヒットしたアニメの理由を考えて
同じようにすればヒットするじゃん、とはいかないんです。

では、これほどのヒットをするには、なにが必要なのか。

それを今から、私が考えるけものフレンズの
「成功の理由の理由」
についてお話ししていきます。

 

オリジナリティと市場のニーズのバランス

過去作品の成功要因を真似しても同じようにヒットできないのは
分かりますが、それはマーケティング的にも言えていることです。

 

マーケティング用語で
”マーケットイン”と”プロダクトアウト”という用語があります。

これは商品を開発するうえでの方針を区別したもので、

マーケットインが「今ある市場の要望を聞いて商品を出す」ことで、
プロダクトアウトが「売り手の感性を元に作る」ことで、
それを用語化したものです。



 

この2つはどっちも素晴らしいことですが、
どちらもそれぞれメリットとデメリットがあります。

 

マーケットイン

マーケットインだけだと、
今ある市場の顧客が「自覚している」要望しか出てこず、
独創性のない凡庸な作品しかできません。

顧客というのは、悪いところを指摘しますが、
かといって具体的にどうすれば喜ぶという点については
自身でも厳密に分かってはいない場合があります。

 

たとえば、最初はすごく尖ったコンセプトのゲームが出ても、
ユーザーの要望に応えていくうちにどんどんカドが丸くなり
ついには最初の斬新さが無くなって箸にも棒にもかからないような
ものになってしまう事だってあります。

自分の想定しているユーザー以外の要望にすら答えてしまうと、
最初の方向性からズレていってしまいますから。

 

また、ユーザーは現在のニーズを言う事はできても
自分たちの「未来のニーズ」まではいう事は出来ません。
またそれを自分で言い当てることも、思っているより難しいです。

 

なので、半年後とかにコロッと飽きて
もっと新しい事しろーという声をあげ、
作者がそれに応えようとズルズルコンセプトから外れていく、
といった事も考えられます。

 


 

ちなみにこれらを防ぐためには、
ニーズを一定範囲で限定してしまうこと(広げも”狭め”もしない)
1歩先のニーズも考えて作り作品寿命を延ばすことがいいです。

 

話が脱線してしまいましたがマーケットインのメリットは、
今の市場のニーズをそのまま反映できるので、
ミスしなければある程度の反応は確実に取れることです。

 

 

プロダクトアウト

次にプロダクトアウトですが、
プロダクトアウトのデメリットは何と言っても
外れるとデカく、大外れすることです。

自分のやりたい事をやるので、
やりたいことが特殊すぎるとそもそも見てもらえません。

 

また、作者の感性が今の市場のずっと先をいってしまっても
現在での成功はできません。

時代が追い付かなかった、という奴ですね。

作者の没後に評価されるとしても、
今ヒットするための方法としては失敗です。

 


 

そしてプロダクトアウトのメリットですが、
これもやはり、当たるとでかい、その点に尽きます。

その絶大な威力は、今回けものフレンズの成功を
リアルタイムに見てきた人であれば分かるはずです。

 

ひとつ当たれば、それだけで1時代を築けてしまう、
また作者的にも、自分の好きな事をやって
大成功しちゃうんですから憧れの的です。

 

どちらだけでもダメ

上であったように、過去作のヒット要因を真似しても
ヒットしないというのは、

・マーケットイン的に、
既に叶っているニーズに同じものを作ってもダブるだけ。

・プロダクトアウト的にもパクリなだけ。

この2つの意味で失敗しています。

 

非常に高クオリティかつ、新たな切り口の作品でなければ
ここまでの大ヒットにはならない、それは過去のヒット作も
それ以前の作品とは全く異なった雰囲気であった事を考えれば
当然と言えます。

両方必要なんですね。

 


 

安定を求めすぎてもヒットにはならず、
一方でオリジナリティも必要という事は、
同時にレールの無い道に足を踏み出すことと同じです。

 

この点たつき監督は、ヒットする以前から幅広いジャンルの作品を作られており、
また自己完結的なアート方面でなく、
顧客の反応を見て改良するエンターテイメント方面だったので
マーケットインとプロダクトアウトのバランスが非常に取れていたと言えますね。

 

 

常に前に進み続ける向上心と継続力

たつき監督は、irodori発足時から常に向上心を持ち続けていました。

それはサンライズへ就職しても、退職しても、ヤオヨロズに入ってからも、
そしてけものフレンズがヒットしてからも変わりませんでした。

 

日の目を見なくても、評価されなくても、評価された後も
常に自己鍛錬を怠らず、成功することでなく
ただ成長を求め続けました。


 

それは非常に正攻法で王道、
奇をてらわない素直さであり、
だからこそたつき監督の実力は本物ですし、
人柄も魅力的なのだと思います。

 

 

”こうありたい”という強く明確な信念

そしてただ流行のものや王道のものを作ればいいやーとかではなく、
こういったものを提供したい、この作品のスタンスはこうだ、など
一度方向性を決めたら妥協をしませんでした。

 

けものフレンズ最終回前で「たつき監督たすけて」
が話題になった時の最終回直前インタビューでも、
「結末は最初から決めていたので最後まで見届けてください」と、
多くのネットの声にもひるまず、自分の意見を率直、適切に言いました。

【けものフレンズ】たつき監督の最終話直前インタビューが公開!

 

(結局最終回はユーザーが望んだ通りの大円団だったのですが
仮にそうでなくてもたつき監督は曲げなかったでしょう。)

 


 

このように一度決めたら最後まで貫く、
作品つくりで大事な部分は妥協しない、(タイヤは妥協する)

何年も続けてきた努力の積み重ねで培われた
自分を信じる精神力、意志の強さがこのアニメけものフレンズに
優しいながらも一本の芯、確かなメッセージ性を宿せたんだと思います。

 

 

 

いちばん大切なこと

たつき監督の心構えや手法は、「宣伝面を除けば」、
クリエイターとして多くの人が理想とするものと言えます。
神格化されるのも納得ですね。

 

結局、たつき監督がアニメ化しなければ
けものフレンズは終わっていたでしょうし、このヒットを見れば
ほぼ「けものフレンズの成功」というより「たつき監督の成功」
という方が適切だと思うかもしれません。

 

たつき監督と吉崎先生が組み合わさったからこそのアニメ

しかし、たつき監督は自主製作アニメを見ても
けものフレンズとは毛色の違う作品も沢山作られていますし、
けものフレンズの成功を象徴する「ほのぼの」は
たつき監督のみによって生み出されたものではありません。

 

それは吉崎先生が世界観、キャラクター、設定など
アニメのベースとしてアプリ版の時点で既に
「けものフレンズ」ワールドという素晴らしい世界を
作られていたからです。

 


 

そして吉崎先生が
「アニメ化するなら絶対ヤオヨロズ(=たつき監督)」
と言っていたことからも、たつき監督の持ち味を
吉崎先生が把握していたからだと考えることができます。

『けものフレンズ』が生まれたホントの話と、つんく♂との驚愕の関係!? ヤオヨロズ・寺井社長独占インタビュー

(ここまでの大ヒットを予想していたかは分かりませんが)

 

また、たつき監督は吉崎先生を個人的にお好きだったという話があり、
その面でも「吉崎先生の作ったけものフレンズ」だからこそ
たつき監督はより一層強い思いを込めてアニメを作られたのでは
ないでしょうか。

アニメ化前のけものフレンズは、
本体となるアプリも終わり、もはやプロジェクト閉園寸前でした。

 

しかし、吉崎先生とたつき監督
この2人がタッグを組んだ途端、
けものフレンズは一気に開花したんです。

今回のヒットは、二人のどちらが欠けても実現しなかったでしょう。

 

 

クリエイターを尊重してくれる、ビジネス側の人たちの存在のありがたさ

また、二人を引き合わせてくれた不思議な巡りあわせにも
触れておく必要があります。

寺井社長、福原プロデューサー。
このお二人がいたからこそ、たつき監督は
何の商業的実績も無い状態からアニメの監督を任され、
けものフレンズのアニメを作ることが出来ました。

 


またKADOKAWA側も梶尾氏が最初の発起人で
初期からの功労者ですし、
その他様々な出資企業や関わった人たちすべての働きも
なくてはなりません。

 

会社の事情でクリエイターもファンの望まない形になってしまった
作品がどれだけあるか・・・。

 

たつき監督が制作に集中できるように
周りの環境を整えてくれた、裏表問わず様々な方々の功績は
表舞台からは目立ちませんが、このことは忘れてはならないと思います。

 


 

 

結論:監督や先生、その周りの人たちやファン、全員の強い思いが起こした奇跡

成功するにはもちろん、卓越したスキルに加え、
オリジナリティ、運も重要です。

そして何より大切なのが、
成功するまでも、してからも忘れない不屈の向上心です。

 

アニメけものフレンズは関係者の裏話などを読んでいくと、
とことん強い信念を持った人たちが奇跡的な出会いをしています。

 


 

また、けものフレンズは深夜アニメとしては例外的に
ターゲット層が広く、一般層に近いため、
他の深夜アニメと違い、比較的ファン層が広く、
性質も素直な傾向がありました。

なので今までの深夜アニメが入れなかった領域にも
けものフレンズは浸透していくことができました。

 

それも、けものフレンズ1話1000万再生を突破し、
ここまでのヒットになった要員のひとつだと考えます。
(これは理由1と2ですね。)

 

このアニメはたつき監督、吉崎先生、経営側の人たち、ファン、
それぞれの力が何倍にも増幅されてできたほんとのミラクルです。

 


 

大人でもこんなに純粋にやりたいことを考えられる人が
これほどいるのは驚きです。

多くの人が社会に出るとひねくれてしまい
純粋に何かを信じ続けることが難しくなってしまいがちですから。

 

ですがそれでも、
自分が何をしたいか、どうなりたいかという心の底からの信念と、
何度転んだって一生やり続けてもいいくらい好きで好きでたまらない事、
それを実現するために素直に学び続けること。

これが結局のところ、1番大事なんだと思います。

 

細かいノウハウ面でのテクニックなんて、
後からいくらでも付けることが出来ます。

 

それよりも、

どれだけ失敗をし続けても、その度に諦めず改善し続けていけば、
その度に失敗理由は少なくなってゆく。

それならいつかは成功を引き当てるのは明白です。

 

そしてそれを引き当てるまで改善し続ける為の、
タフで柔軟な精神を作るのに必要なのが、
自分の人生を全てそれに費やしたって構わないというくらい、
心の底からやりたい事をすること。

 

本質って、限りなくシンプルなんだと思います。

 


 

強い精神力でひとつのことを貫き通せば
何度か失敗したとしても、最後に奇跡は起きると、
私は考えています。

なのでけものフレンズの史上稀なほどの
奇跡の連続は、関係者全員の強い思いが呼び寄せたと、
私は本気で信じています。

 

自分もけものフレンズと、たつき監督のファンになってしまったので、
監督の取り組む姿勢をぜひ学んで取り入れたいですね!

 



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そして来たる9月25日、それは起こりました。

自分的に、この騒動は今後のアニメ業界を左右すると確信してます。

そしてそれは、私の個人的な信念にも繋がってくるのですが・・・。

これについてはまた別の記事で書こうと思います。